狛犬 修理・修復・再現

台風の被害で真っ二つに割れてしまった狛犬の修理、一抱え以上の大木が倒れ下敷きになった狛犬が二体
石は和泉砂岩で彫られた大正時代の狛犬で、あまり風化も見られず表面もしっかりしている。


切断された狛犬、前足と台座は粉々に砕けている

大きく上半身と下半身に切断された狛犬、前足と台座は粉々に砕けている。


切断された狛犬

何十トンもの圧力が瞬時にかかりスパッと切断され断面はきれい。


狛犬の前足と後ろ足そして台座の部分がない。

取り合えず仮組してみた、狛犬の前足と後ろ足そして台座の部分がない。




砕け散った部材を拾い集め保存していたが、足りない部分もかなりの数になる。




目についたのは足のつま先が四つ混じっていて、繋がりの部分は見当たらない。




仮組に台座の石をあてがい前足の部材を当ててみる、大きめに作り接着してから削って
バランスをとる。




 接地面に大きく窪みを彫り接着剤の溜まりを作る、溢れるほど塗り接着しクレーンで重し
の石を乗せ一晩置く、溢れた接着剤も硬化するまで放置。




前足のすり合わせ、原石から削りだした前足の隙間を調節、足裏にも溜まりの窪みを付け
ギリギリではなく糊代のスペースも必要、たっぷり塗り込むのは気泡が出来ないように密に
ぬり、完全に硬化するまで一週間そうすれば石と同じ固さになり細工が出来る。




下半身と台座のすり合わせ、ピッタリ合わなくても接着剤で埋めれる、裏面にはステンレスの
丸棒を埋め込み接着剤で固める。




前足の接着完全に硬化すると石を叩いた音が同じになり強度も
出たのがわかる。


狛犬の全ての部材を組み合わせ接着

狛犬の全ての部材を組み合わせ接着。


狛犬修復完成、グレーの部分が新しい材料で造作した箇所

狛犬修復完成、グレーの部分が新しい材料で造作した箇所、白い筋が接着剤で埋めた個
所、この後塗料を薄め元の色に近づくように何度か塗り仕上がりになる。




これが元凶の巨木、モニュメントとして残すそうです。




以上三点が退院してめでたくお宮に帰還。


狛犬が復帰鎮座、地元石材店との共同作業の案件でした

狛犬が載っていた台座も修復が済、元の位置に狛犬が復帰鎮座、地元石材店との共同作業の案件でした


TPへ  戻る  次へ

Copyright (C) 2014 巽彫刻 All Rights Reserved.
【掲載の記事・写真・イラストなどの無断複写・転載等を禁じます】