産地による量産型の狛犬 |
量産型の狛犬が彫られた場所は、近くで原石が採取でき石工集団が固まった中で仏像や狛犬 灯篭など細工物を得意とする石工が彫り始め、大都市近郊で水運が発達した地域に多くみら れる、原石を採取する石工、それを山から運び出し石工の元へ届ける業者、製品を消費地に 運ぶ業者、地元でお宮へ奉納する段取りをして、台座と狛犬を建て上げる石工と大勢の人と労 力で狛犬は建つ。 江戸時代中期から水運で重い石を運ぶ廻船問屋・北前船など、大きく外洋に出れる船の出現 で石製品も流通し産地から運ばれた狛犬が日本全国に広がった。 最初に規格で量産された狛犬は越前笏谷石で彫られた越前狛犬になる、凝灰岩で柔らかく鋼 の道具でも細工が出来たので小型の狛犬は広く分布している。 徳川家康の死後、東照宮が建てられ狛犬が奉納されたのがきっかけで江戸市中での狛犬奉 納がはじまる、江戸城築城で全国から集められた石工の中で、江戸に住み着き石材関係の仕 事に付いた中で細工が得意な職人が彫っていた、江戸狛犬になる原石は江戸城築城に使わ れた小松石の中で彫刻に向いた石が使われた。 大坂の狛犬も大阪城築城で石工集団が出来、その後住み着いて石工町を形成、浪速狛犬と よばれる狛犬は瀬戸内海から運ばれた花崗岩と、泉佐野市から産出する和泉砂岩を使用、何 度かマイナーチェンジをして大正期まで彫り続けていたが産地が消滅し生産中止に。 島根県松江市近郊から産出する来待石で、狛犬を彫り始めたのは江戸中期からで海運で運 ばれ日本各地に建っている、出雲狛犬とよばれ蹲踞型と構え型の二つの型がある、石が柔ら かく彫りやすいが風化が早く、古い狛犬の現存率は低い。 愛知県岡崎市は徳川家康生誕地で岡崎城築城・増築で石工が入り住み着いて石工集団を形 成、岡崎近郊から産出する花崗岩は柔らかく加工がしやすかった為、細工物がしやすく川舟で 海まで運び全国に流通した、狛犬の歴史は意外と新しく量産型が出来たのは幕末、宝珠狛犬 とよばれ大正期まで彫られていた、明治から大正にかけ量産された狛犬も残っている、本格的 に量産型を彫り始めたのは、岡崎石工酒井孫兵衛が十年かけて完成させた岡崎型狛犬で百 年彫り続けている。 昭和初期、新しい狛犬の型を模索する動きが出た、護国神社等に奉納される狛犬で招魂社系 に分類している中の古代型狛犬(大宝神社を模倣)東京と岡崎産地で作家による指導でほぼ同 じ時期に製作が始まる、岡崎産地は多和田泰山師を招き技術指導の下、成瀬大吉などが製作 を始めた、東京では建築家伊藤忠太を中心としたグループが製作を担当、職人が彫った岡崎古 代型、作家物の江戸古代型、日本各地に奉納されている。 |
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越前型狛犬 福井県福井市産出笏谷石 |
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江戸型狛犬 神奈川県真鶴市産出小松石 |
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岡崎型狛犬 岡崎市産出花崗岩 |
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古代型狛犬(招魂社型狛犬) 神奈川県真鶴市産出小松石 岡崎市産出花崗岩 |
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